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2022年 西日本大会レポ 団体戦

前回の個人戦に続いて、団体戦の振り返りをしていく

前回の記事⇓

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西日本大会の団体戦は5人制で、8人まで登録できる

しかし今回、徳大は高段の主力メンバー抜きの5人で出場

主力のいない厳しいチームだったが、岡山大学に勝利したのは驚いた

結果的には最下位だったが、いい経験になっただろう

秋大会に期待である

 

さて、部長はというと、中部中四国選抜チームで出場した

西日本大会個人戦出場メンバーの内、地区ごとに4人ずつ選ばれた8人の選抜チームである

チームには5位決定戦で私が負けた方もおり、強力なメンバーばかりだった

僕が初戦から戦犯をかまし、4位になってしまったが、他地区と交流できていい思い出になった

 

というわけで、今回は北岡と私の棋譜を合わせて振り返っていく

 

北岡 対静岡大 快勝譜

北岡君は部員紹介でも書かれている通り、

「終盤ファンタ型三間飛車の名手である

ファンタとは優勢から敗勢にすることを言うが、まあそういうことである

しかし、北岡君は「終盤ファンタ型」であるため、格上相手にも序中盤優勢を築くことが少なくない

そこが彼の強みなのだ

そんな彼から快勝譜なるものをいただいた

 

北岡が後手

彼はやはり得意の三間飛車を選択

先手の居飛穴対後手の三間ミレニアムの戦いになった

お互い囲いも完成し、後手が5二飛として次に5五歩と動く手を見せた局面

評価値は互角だが、実戦的には若干後手が指しやすいか

しかし先手の穴熊も堅いので油断できない

実戦は3六歩として後手の5五歩を許したが、2六飛でどうだったか

 

中央でポイントを挙げた後手は端に手を付けた

しかし2二歩が入っておりゆっくりはできない

同歩 8五桂 8六角に6四銀が5七歩成をみて味がいい

 

5八歩と受けた先手に、後手は攻めの手を緩めない

4五歩としたが、一度2二飛と歩を補充しておく手も魅力的だった

後手は歩切れだが、攻めを続けることができるか

 

上手く歩切れを解消した後手だが、桂取りの対処が難しく、指し手が難しい局面

取ると同銀右でも同角でも苦しそうだが、3九角成では2四飛で先手の攻めが早そうだ

最善手は取る手で、ほぼ互角であった

しかし、ここで北岡は相手の読みの上を行く一手を放つ

それが7六歩だった

一見桂馬がタダだが、8五桂に8四歩で桂と取り返す手と8六の角を狙っている

 

桂馬を取り返して8四桂まで入った局面は後手大優勢だ

ここからは相手にペースを握らせることなく寄せ切った

実は7六歩は評価値的には悪手で、一時先手優勢になるのだが、8四歩に9三桂成が指せないとたちまち後手優勢になってしまう

相手の悪手を許すと好手になってしまう分かりやすい例である

 

評価値で見ると7六歩が大きなマイナスを示すが、私はこの手はいい勝負手で、勝因だと感じた

こんな将棋を指せるなら秋大会は期待できそうだ

 

北岡 対大阪公立大 ファンタ

さあ皆さんお待ちかね、ファンタである

しっかり振って読んでもらいたい

 

先手の北岡は後手の中飛車穴熊に対してダイヤモンド美濃に組んだ

アマではよく見られる局面で、ここからの方針が重要になってくる

 

先手は銀交換に成功したが、陣形が少し上ずって怖い局面

後手の6四角が疑問手で、5五銀として先手がペースを掴んでいった

後手は同角以下強引に捌いて穴熊の堅さを活かす方が良かったか

実戦は3四飛 7一角成以下桂香を拾って駒得した先手が優勢になった

 

苦しい後手は端にアヤを求めてきた

同香は3六歩が怖いが、4七金で実は問題ない

4六桂と攻め急いだのが悪手で、2四飛でかえって玉頭に狙いをつけられてしまった

まだまだ先手優勢は変わらないが、堅さに大きく差があるためミスをすると一気にひっくり返される恐れがある

後手は狙っている一手があったのだが・・・

 

5四歩に手抜いて3六香としたのが大悪手

実は後手は金を取って3四金で飛車を捕獲するのが狙いだった

しかし、さすがに駒を渡しすぎで、後手が優勢になってしまった

そのまま寄せられ、見事にファンタ発動

さすが名手である

 

飛車も馬も使えていないので、どちらかを受けに利かしていれば分かりやすく勝てたのではないだろうか

優勢の局面で急いで攻める必要も駒損する必要もない

ゆっくり相手の面倒を見て狙いを消し、今回の場合は姿焼きを狙うのが得策だっただろう

この棋譜を見て思ったが、終盤の考え方が甘いと思うので勉強してほしいところだ

 

部長 対岡山大学 中四国理事長 穴角

最後は私の一局を紹介する

相手は勝手知ったる岡山大学(何を知った気でいるんだ?

私の目の前に座ったのは中四国理事長の薬師寺さんだった

 

八木に電流走る

そうだ、穴角をしよう

対局前は微塵も考えていなかった神戦法を思い出したのだ

 

しかも先手を引くことに成功

もうやるしかない

 

対局開始

初手9八香

 

急に理事長が唸りながら首を振り回し始めた

何かしら反応はあるかと期待していたが、予想以上で思わず吹いてしまった()

 

首が止まったかと思うと、力強い手つきで飛先の歩を突いてきた

許さん、必ず勝ってやる、と聞こえてくるようである

2手目にこれほど力を込めて指した人間は少ないだろう

 

私はもちろん9九角

後手はまたもや力強く飛先を突いてきた

飛先を受けて8八飛でこの局面

 

先に言っておくが、舐めプのつもりはない

8八銀の形の穴角は私もメリットが分からないが、飛車だと最短で向かい飛車に振れるメリットがあるのだ

相手も初見では対応が難しいため、互角以上に戦えると考えている

 

7四歩に7六歩と突いていく

八角成には同角以下5五角打で後手しびれる

 

そんなに悪くないと思っていたが、この時点で評価値-600ほど

局後、戦法開発者に聞いたところ、7八金は省略して5七銀右~6六歩を急いだほうがよかったようだ

 

後手は7三銀から早繰り銀を目指してきた

先手は7七桂~8九飛が形で、これで桂馬が楽になった

しかし、後手は桂頭が急所とみて、7五歩から攻めてきた

もちろん桂頭は受からないわけだが、それは承知の上

6五桂から捌きを狙う

 

対して9九角成以下進み、6四銀が冷静な手だった

ちょっとこれ悪いっすね~

対局中の率直な感想である

 

6六歩と桂を支えたいが、8六飛くらいで苦しい

8七歩は6六飛、6七銀は7七歩、5九飛は8九角でいずれも後手優勢だ

 

実戦で長考したものの、好手はひねり出せず仕方なく6六歩

しかし次の一手に驚く

6五銀!?

タダで取られそうな桂馬と中央で威張る銀が無条件で交換できるなら願ったり叶ったりである

 

これで悪いわけがねえ、やる気出てきた

後手の狙いは5六桂だったのだが、銀を取られてもただ桂馬が持ち駒になるだけなのでありがたい

 

5筋から捌いて上図

4五角が気になるが、まだ大丈夫、先手が良さそうだ

 

ここで5三歩が好手だった

逃げたら銀を打ち込むのが狙い

実戦は同金直だが、7五角が気持ちいい

 

5四金 8六角 8九飛 4二角成まで進めば底歩も利く先手が優勢だろう

というわけで勝ち切り、見事に勝利した

すまん理事長()

 

実は大会で穴角を指すのは高校以来

そのときも勝利した

なお、控室で九州大学が大会で穴角が出たことを噂していたので、当たったときに使ってみた

結果は言うまでもない

やはり穴角は優秀なようだ

 

振り返り

私の団体戦の結果は2勝2敗

勝利したのは穴角を指した対局のみとなってしまった

うーんひどい

中四国大会は戦犯しないようにしたいが・・・

個人戦で思いのほかいい順位を取って浮かれてしまったので気を引き締めて臨みたい

目指せ全国!